「その辺のエピソード、もっと描けよ」
これは作中に登場する女の子の台詞です。主人公の少女は、「それは、じゃあ、次の夢で」と返します。
2009年12月、年の瀬の七ツ寺共同スタジオ。劇団「放電家族」第肆(4)回放演として、この作品は初演されました。黒装束、素舞台、丸椅子。これらのアイテムが初めて登場したのも、この作品です。いわば放電家族の原点と言っても過言ではないでしょう。
あれから7年、公演数、第拾肆(14)回を迎えるにあたり、そろそろ「次の夢」を描かねばと思うようになりました。2016年春には東京は新宿「サニーサイドシアター」に於いて、東京の俳優たちに上演された本作を見、その思いはより強くなったのです。
あの時のメンバーから顔ぶれも変わり、脱稿当時25歳だった私も、結婚し、父になり、今年で32歳になります。
初演を御覧頂いた方も、初めてこの作品をご覧いただく方も、楽しんでいただける作品になると思います。
是非、劇場に足をお運び下さい。お待ちしております。
脚本/演出 天野順一朗